あんしん住宅ドットコムホーム > テクノストラクチャーとは? > テクノストラクチャー開発物語 > テクノストラクチャーの産声
発売に向けて本格的な開発をスタートさせた開発スタッフを待ち受けていた「結露対策」「構造計算の確立」「施工性の向上」という3つの難題。そこで、開発に新たなメンバーを加え、チームを再編。3つのテーマに分かれて、課題をクリアすべく、開発が進められました。
構造体に強度を持たせるため、梁に「鉄」を使用したテクノストラクチャー。まず、ぶつかったのが梁の「結露」という問題でした。 結露とは一般的に、空気中に含まれた水蒸気が冷たい外気によって表面温度が低下した窓や壁に触れ、水滴となって付着する現象をいいます。金属は熱や冷気を通しやすい性質があり、結露が起こりやすいため、テクノビームにとって結露対策が非常に重要な課題となりました。 結露対策に有効な主な手段は、冷気を伝える部分の断熱と余分な湿気を排出する通気の確保。開発メンバーは、寒さの厳しい北海道・帯広にある松下電工(現パナソニック電工)試験場に試験棟を建設し、検証をスタート。連日連夜、早朝から深夜まで氷点下20℃を超えることもある極寒の地で、冷え込み時のテクノビーム表面や壁内の温度分布を調べ続けました。 壁内に湿気をためないための通気の工夫やテクノビームへの専用断熱材の開発、また外気にもっとも触れるバルコニー部分の断熱性能の強化など工夫を重ね、一つ一つ細かに仕様を設定していきました。 そして、ついに結露対策が完了。冬の寒さも緩みはじめたころでした。
実験によりさまざまな仕様が決定されていく一方で、テクノストラクチャー開発の最大テーマでもある「構造計算」の構築へ、急ピッチで作業が進められていました。 部位によって接合強度が異なり、材質・長さ・太さなどの異なる部材を使用する木造住宅にとって、その「強度」を客観的な数字ではじき出すことは非常に難しく、手間のかかる作業です。当時、木造住宅で構造計算が行われていたのは3階建住宅くらいで、通常、構造強度は熟練工の経験・知識・勘に委ねられるのが当たり前の時代。そんな中、あえてその困難に挑んだのは、木造住宅の強度をしっかり確保し確実なものにすることが、「安心して長く暮らせる住まいを」というコンセプトに対して必要不可欠だったからです。 目指したのは、一般的に使用されることが多い、簡易的な構造計算レベルではなく、住宅クラスの建築物ではあまり使われない高度な3次元構造解析を行うシステム。これは、住宅のプランを入力することで、構造計算から伏図などの関連図の出力、構造材の拾い出しまでを一貫して行い、部材の配置を決めると、コンピュータが構造部材(柱・梁・筋かい等)の1本1本に加わる力を検証し、強度確認及び構造計算を行うというものです。しかし、構造仕様自体がまだまだ開発途上という段階。システムを開発するための細かい条件がそろった状態ではありませんでした。 仮説をもとにプログラムを組んでは検証し、不具合を見つけては一つ一つつぶしていく・・・。そんな手探り状態の作業を繰り返し、発売に向けてプログラムが作り上げられていきました。